ぷかログ

熱気球パイロットとして世界を旅する空飛ぶフリーランスのイマ

【PUKAPUCUP season4】2日目競技フライト振り返り(前編)

2024年1月27-28日にPUKAPUCUP season4を開催致しました!

27日は渡良瀬遊水地付近は風が強い予報となっていた為、競技フライトはキャンセル。

28日はフライトができ、エントリーしていた私(華菜子)がまさかの優勝…!
Vメールということで、日本気球連盟の「風船」にPUKAPUCUP season4について寄稿させて頂いたのですが、盛りだくさん書きすぎて大幅カット…

上位パイロットにフライトプランについて伺い、航跡と共に、参加された方へのフィードバックをしたいと思っていたので、日本気球連盟の編集部にご了承頂き、ぷかログにて公開させて頂くことになりました!

天気概況

この日の予報は、気象チームの担当は寒風澤さん。
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渡良瀬遊水地には北東風(1m)が入り、東風(2m)へと変化し佐野市周辺部へと収束する予想です。渡良瀬遊水地南側では、北東風から北風に転じ東京湾方面へ吹き抜ける予想です。
左下の画像の午前8時では先に触れた収束がより明瞭となり収束線が形成され、渡良瀬遊水地付近の風も北西から北東、時折東風の風向変化が発生する可能性があります。
右下の画像で午前9時には渡良瀬エリアより南西象限で周辺部の風が収束し、引き続き渡良瀬遊水地エリアは北西から北東の風向変化に注意が必要です。
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ということで、6時半にスカイフィールドでパイバルを放球。
地上から北東・東・南・西・北西と、前日からの寒風澤さん・宮田さんの見解のとおり色んな風が吹いていました。

このパイバルの状況を見て、HWZのゴールをスカイフィールドの西側に1つ追加して、タスクデータの確定版を公開。

watchmefly.net

タスク設定への想い

ここで、競技委員長である雄大からタスク設定への想いをお聞かせ頂きましたので、是非タスクシートと合わせてご覧いただければと思います。
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#3 3DT(3Dアプローチ)
ターゲットまでのアプローチ、その航跡の長さをできるだけ長くなるように飛んでもらうタスクで、今回は離陸から2つのヘジテーションを狙うまでを採点区間としました。

#5 FON(the Average)
今回の新作で、色々な試案が含まれる準問題作。発想の出発点としては、今日このタスクが今日だけで完結してしまうのではなく、明日のタスクの影響も受けてこのタスクの結果が変わってくる、そんなストーリー性をタスクに持たせられたらという思いがありました。
2日間の平均距離がスコアになるタスク。また、発案当初の予報では、3Dアプローチを狙っていく方向によっては、その先にFONを入れると着陸スペースが少なくなる可能性もあったため、初心者パイロットが安全を優先して着陸を選択したとしても、得点を得られる内容にしたかった。そして、このFONにトライするメリットを生むために、トライした分の距離には0.5倍のボーナスをつけることにしました。前日にタスク内容をリリースして、ライングループ上でパイロット達からの意見や反応をみて、どうもこれではうま味が足りなそうでトライしてもらえないかもと感じたので、ボーナス倍率は0.3倍に変更しました。
そしてこの2タスクを組み合わせている理由には、3Dアプローチで2つ目のヘジを捨ててひたすら距離を伸ばし続けてしまう行為を抑止する意味もあります。
このように色々な思いがあるタスクですが、平均を使うという問題面がいくつかあり、ゲーム性としてどうなのか、私の中でもすっきりはしていないのですが、今回の組み合わせでは、そこそこ楽しんでもらえたのではないかなあと思っています。
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私のフライトと雄大からのアドバイス

ブリーフィングが終わり、スカイフィールドから一斉離陸。
15機が続々と準備を開始します。

チームの皆に立ち上げの準備をしてもらいながら、#4 RTAの時間を考えなければなりません。が、正直言ってどれくらいが良いのか全然分からない!#3 3DTのために#1HWZから#2HWZの間はぐるぐるとサークリングするつもりで、短いとバタバタしそうだし、余裕をもって「60:00」と宣言。やっぱりちょっと長いかなーと思い直して離陸前に「50:00」に修正しました。

◆#1 HWZ
離陸後はまず、#1 HWZはスカイフィールドの西に設定されたゴールを狙います。
一度1000ftの高さの風を確認し、地上付近の北東風で南下。上昇しながらゴールを目指して100ftからゆっくり上昇…「ちょうどゴールに近付いていくー!」
1000ftでゴールを突き抜けていきたいので、高さ・スピード・進行方向を確認しドキドキしながらバーナーを焚き、10m前後のところでドロップ!
最初のゴールにうまく寄っていけたことに喜びつつ、#3 3DTの航跡を伸ばすタスクへ。

◆#3 3DT/#4 RTA
ゆっくりと上昇しながら南東風に乗り、その上の2500ftにある北西風で#4 RTAの円の内側へ。サークリングして航跡を伸ばしすため、再度高度を下げて円の北西側に向かい、そろそろ上げて北西風に乗りにいこ~っとのんびり上昇を開始したところで、コパイ雄大から「円出ない?!大丈夫?!」と言われながらも初心者な私はのんびり上昇。さすがに「あれ、もう風変わるでしょ?!まだ?!」と焦りつつバーナーを2・3焚きし、「まぁ出ちゃったらしょうがない~」と思いながら祈っていたら円の70mくらい手前で針路が変わって、ほっ…。#4RTAが始まってからまだ20分くらいだったので、ここで出てたら危なかった!
そこから高度2700ftの北西風に乗って2kmの円の外に向かいます。高さが少し違うだけで風速も12km/h~14km/hと若干の差があり、14km/hで巡行すれば、宣言した「50分」ギリギリで2kmの円を通過できそう!結果、81秒遅れで円を通過。タスクトップが取れました!やったー!
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雄大アドバイス:円の端っこでサークリングしてると円の外に出てしまうリスクあるから、もっと中心のあたりでやった方が良い。少しでも北に位置取り出来ている方が#2 HWZのオプションが増えるから、早めに南風を使った方が良かったんじゃないかと思われます。
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◆#2 HWZ
狙えるHWZは一反木綿の池の上に設置されたゴールのみ。既に南に外しそうだったので、#1 HWZへのアプローチで使った700ftくらいの南風を使おうと高度を下げてみても南風はなくなっていました…。あぁ遠くなっていく…北上を諦め、1500ftの南東風で進んで結果263m。
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雄大アドバイス:後続の気球が北上してないのを見て、南風が消えてきたという傾向を感じられるから、全体のプランの見直しを入れるタイミングがそこにあったかと思います。
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確かに。皆南西方向に飛んで行ってるのは見えたけど、そういうフライトプランで飛んでるんだと思って、風の傾向として捉えていなかった。そういう風にして見るのか~と勉強になりました。

◆#5 FON
#2 HWZが悪かったので、#5 FONのTRYをすることにしました!
ついさっきまで飛んでいた700ftの東風と1500ftの南東風を使っていけそうな所はー…ここか?高さは今700ft-800ftになるから…1500ft!
雄大にBLAの操作をお願いして、ゴールを目指します。少し北にはずしながらも一番近そうなところで「はい、ドロップー!」
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雄大アドバイス:自分なら東風と地上近くの北東で行ける南西方向で、距離はあのスピードなら2kmくらい離します。なぜなら、経験則から地上の速度の遅い2方向の風を使った方が修正もきいてアプローチしやすいことが多いから直感的にそうなります。
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タスクが終わり、東風で板倉の田んぼエリアに流して着陸。
顔なじみのメンバーが遠方からもPUKAPUCUPのために来てくださり、着陸地は大賑わいでした!

9時過ぎには全チームが無事に着陸し、FRFをWatchMeFly上で提出して頂いて競技終了となりました。

WatchMeFly上で、Officialには各パイロットの航跡はこのようにして見えます。
例えば、青いピンの2はLoggerGoal#2を宣言したした場所。青いピンの2xはLoggerGoal#2に宣言したゴールの位置。その後ろに隠れているピンが実際にドロップしたLoggerMark#3です。

 

後編につづく…

pukapuka-azure.hatenablog.com