ぷかログ

熱気球パイロットとして世界を旅する空飛ぶフリーランスのイマ

【優勝】佐久バルーンフェスティバル2019

2019年5月2~5日。

10連休という大型連休の後半。そして元号が「令和」に変わり新元号の到来に世の中が沸き立つなか、長野県佐久市で佐久バルーンフェスティバル2019が開催されました。


佐久で練習フライトを!と意気込んで大会4日前に佐久入りしたものの、大会前にはわずか1回しかフライトができないという悪天候続き。

しかし大会期間中はうって変わり晴れ晴れとした天候で、午後のフライトはキャンセルが続いたものの、3フライト9タスクを実施しました。

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結果は「1点差」で逃げ切りの優勝!!

2日目は複雑な風と時間と距離を気にするタスク設定で思うように振るわず、上位僅差で迎えた最終日も結果を見てみないと何とも…な感触でしたが、執念と幸運が味方してくれたおかげで競り勝つことができました。

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【1日目】5月3日

朝のブリーフィングではJDG,HWZ,FONの3タスクが設定されていましたが、風向きの変化によりJDGがキャンセル。会場の北東と東南東に設定された#1 HWZに向けて会場から一斉離陸しました。

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渡良瀬バルーンレースではまだ不慣れを感じていたにゃん吉3号の機体と新しいバスケットシステムですが、佐久での練習フライトでそれらを解消し、一体感を感じることができました。そのポジティブな感覚を胸に、佐久バルーンフェスティバルのフライトがいよいよ始まります!!

#1 HWZは4.54mに決めて#2 FONへ。上空から地上近くまで降下したタイミングでラッキーにもターゲットに寄る地上風が吹き、5m程離れたところからナイススローで32cm!!今大会はマーカー投げ練習の成果があったのか、良いマーカーの投げっぷりでした。

 

【2日目】5月4日

東西南北に吹き乱れる風を存分に使う#3 MDT, #4 XDD ,#5 PDG ,#6 HWZ ,#7 FONの5タスク。これらのタスクをこなす順番は自由で、各チームの戦略の違いが大きく出るフライトになりました。

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やずやバルーンチームは南風と西風が弱まると予想し、最初に東側の#6 HWZを狙い、その手前に#5 PDGを宣言しました。#6 HWZのターゲットは#4 XDDの①のエリア内にある為、#6 HWZを終えてなるべく東にひっぱりながら#4 XDDの1つ目のマーカーを投下。その後急いで#3 MDTのターゲットが展開されるメイン会場に戻る作戦で、#7 FONのゴールは会場間近のものを選択。最後に東風で西側にある#4 XDDのエリアを狙うフライトプラン

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ネックとなったのは、#3 MDTのScoring Period。離陸から30分以上経過かつ7:45までにマーカーを投下しなければなりません。

この時間に間に合うかも賭け。会場に設置された#3 MDTのターゲットに向けて、ちょっとやりすぎカナと思う程の急降下をして1分前にマーカー投下。会場では高高度からの息を呑むような降下、アプローチ、3.65mへマーカーの投下で歓声が上がりました。

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#3 MDTには間に合ったものの、時間を気にしたことで#5 PDG,#6 HWZへのアプローチが中途半端になってしまったのが残念。
続く#7 FONへと北上する風がなくなり、マーカー投下せず。最終の#4 XDDの2つ目を⑤の西端に決めて着陸となりました。

 

フライト後の計測でドラマが!

実は、#5 PDGのマーカーはGWで休業中の工場の屋根に乗ってしまっていたのです。門は施錠され、屋根の上のマーカーは当然目視することもできず…会社を検索して電話をかけてみても建物から悲しく呼び出し音が聞こえるばかり。隣の家の方から聞いた会社の事務所を尋ねるとお休みで、さらに地域の班長さんに尋ねに行き、なんとか社長さんのお宅がある住宅地の場所の情報までは辿り着くことができました。

しかし、そこはゴールからは少し離れた場所。とりあえず…ということでオブザーバーさんのマーカーの着地場所の記憶を辿り、ゴールからの角度・位置を変えた場所からの角度・その2点の距離を出し、理系組が正弦定理を用いて暫定の位置を算出。

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この証明を副島競技委員長に提出するも、回答は「マーカーの位置を目視できないのであれば、オブザーバーさんが目視したマーカー着地の角度で工場建屋の最も遠い場所が、公平性を出すための限度。もう一度建物の幅を図っておいで」でした。

フライトの疲労感と、屋根の端の方に落ちたのは分かっているのにどうにもならない状況、既に11時をまわろうとしていることから心が折れかけていたが、リメジャーに行くしかないと付き合ってくれるクルー達。

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ゴールから近い方の屋根の端に落ちたのに…工場建屋は20m近くあるのに…そんな悔しい気持ちで現場へ戻り、工場の幅を図ろうとしていると人の姿が!!
事情を説明すると敷地内に入ることを快諾して下さいました。しかし、屋根に登る設備はないとのこと…マーカーまで後少しなのに…


しかし、敷地内にある長いハシゴを発見!!ラッキー!!

屋根に登ることも了承頂き、6m程ある高さを登ってマーカー発見!!屋根の端から1mの場所でした。

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こうして無事に36.13mを計測し、マーカーを回収して競技本部へ戻ったのは12時過ぎ。諦めずラッキーを運んできてくれたクルー達に感謝。付き合ってくれたオブザーバーさんにも感謝です。(ラッキーがひとつでも欠けていたら50m以上の結果になっていたはず)

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【3日目】5月5日

首位で迎えた最終日。2位のニックドナー選手とは300点の差。

設定されたタスクは#8 HWZと#9 PDG。#8 HWZは延長線上に設定された2つのターゲットが10分ずつ交互にオープンします。このタイミングに合わせてアプローチできるかが鍵となりました。

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時間を考えるタスクへの苦手意識があってかシンプルに状況を判断できず、1つ目のターゲットまで300mのところ、ターゲットクローズまでの残り2分で間に合わないと思い、高度を下げて低空のゆっくりした風で時間調整をしていまいました。振り返ってみると、2つのターゲットは延長線上なのだから、そのままターゲットを目指して、間に合わなければ次のターゲットを狙えば良いのに…と反省です。


気を取り直して最終タスク、#9 PDGへ!!

低空の風に合わせながら、クルーによる引っぱりの効果もあり、ゴールへ寄っていきます。投げも良く、マーカーは1mのところへ。

 

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幾つものラッキーが重なって、チームで勝ち取った1点差の優勝!!令和最初の優勝!!

これでグランプリ2連勝となりました。


和気あいあいとしながらも、今自分たちにできるベストは尽くしたはず。しかし、反省点や課題はまだまだ沢山ありました。パイロットにできること、クルーにできること、お互いの連携を強めて束になること…

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スペインへの出発がいよいよ目前!!

これから始まる新たな挑戦にワクワクが止まりません。10月の熱気球グランプリRd.3「平泉・一関バルーンフェスタ」ではひと回り成長したフライトができるよう、精進してきます!!


海外での情報も随時、SNSやブログで更新していきますのでチェックしてくださいね。

 

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Photo by Hiroki Okada and En-cyan

 

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また次の記事でお会いしましょう~