ぷかログ

熱気球パイロットとして世界を旅する空飛ぶフリーランスのイマ

【4th place】Spanish National Championship 2019 in Toledo, Spain

台風の間に溜まった洗濯物を干してたんですが、雨が降ってきて全部ビタビタです。

どうもYudaiです。

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書きかけの記事を1ヵ月近く寝かせて、熟成した頃に体裁整えて出荷しています。

夏のヨーロッパ滞在後半は、移動に大会にとばたばたで、光陰矢のごとし。記事を書く暇なく、帰国してからもなんだかんだと更新が遅れてしまっておりました…

さて、時は遡り、2019年8月末にトレドで開催されたスペイン選手権に参加してきましたので、そのレポートです。

2019年8月23~25日。スペインのトレドにて、スペイン選手権が開催されました。

この大会はスペインチャンピオンを決める大会で、上位の選手は2020年の世界選手権への切符を手に入れられる大切な一戦。参加機数は18機。

スペインの気球事情

ナショナル選手権で18機と聞くと「あれ、少ないな?」と感じられるかもしれません(日本では約40機)ので、まずはスペインの気球事情をご説明します。

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スペインではコマーシャルフライトをメインとしているパイロットが多く、仕事としてのフライトが優先されたり、そもそも競技は二の次という感覚だったりします。その中でバチバチに競技志向のパイロットは5名くらい。

最も頭角を出しているのがIvan。前回の2018年世界選手権ではトップ10、ヨーロッパ選手権ではトップ3に入るなど、実力のある選手です。

Ivanは銀行のマーケティング系の部門で仕事をしていて、計算能力が素晴らしい。緻密に計算されつくしたフライトを武器にしています。

彼を筆頭に、Blaiと Carlesが同年代のパイロットとして彼の後を追います。この、とても仲のいい3人がナショナルチームを作っているのだとか。世界選手権やヨーロッパ選手権など、チーム間での連携が必要とされる状況で力を発揮しそうです。

正直、羨ましいですよね。仲いい友達と競技で切磋琢磨できる…僕もそんな友達が欲しいー!!!

「スペインで1日しかなければトレドへ行け」

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そんなことわざが有名で、美しいと評判のToledoが今大会の開催地。

首都マドリードから南へ約1時間のドライブで着く古都は、中世の街並みが残され、その美しさで世界中からの観光客を魅了します。スペイン滞在当初から、妻がトレドに行きたがっていたので、僕としては本当にラッキー!

僕らは、イグアラダからNissan Patrol (おそらく80年代物で、かなり年期が入ってる)にトレーラーを引かせて625km、最高速度80km/hで約9時間かけて魅惑の古都を目指しました。

おじーちゃん車が走り切ってくれるのかという不安をいい意味で裏切って、最後まで走り切ってくれたPatrol!!

ありがとうNissan!

旅の仲間はもう一人。

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KON-TIKIで仲良くなったブラジル人パイロットRafael(以下ラファ)が一緒についてきてくれました。

ラファは2014年世界選手権でアメリカチームの通訳クルーをしていたらしく、僕が表彰台に立った時の思い出話なんかにも花をさかせながら、「NippoBrazil team!!」を合言葉にテンション高く、チームの結束力を高めていきます。

いや、マジでNissanが心配やねんっていうのが道中の想いでしたね。

トレドに到着

1日余裕を持って到着した僕たちはトレド観光へ!

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トレドで目立つ建物は、大きな教会がいくつかと、戦争で使われた武器のミュージアムあたりでしょうか。

丘を上から覆う様に作られた街並みの中にどぅーんと建てられたそれらはまず目を引きます。

なんかかっけえ古い建物。街中を歩けばその雰囲気だけでもわくわくする魅力がありました。

お土産屋に武器屋が多い!ロードオブザリング(Kanakoが大好き)とか、ゲームオブザスローンズ(見てないからよく知らないけど)とか数々の映画に使用された武器が、この街で手に入るのです。武器屋で小一時間楽しめました。

王の指輪もあったけど…欲しいと思うほどかっこよくなかったな。

その他にも、トレド大聖堂やエルグレコの貴重な絵が保存されている教会などもあって、見どころは沢山あります。

立ちはだかる言葉の壁

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競技はCIA loggerを使って行われます。(ヨーロッパではオブザーバーを使った競技会はもうなくなりました。アメリカでもなくなり、世界中で日本だけになったと言っても過言ではありません!)

ブリーフィングは全てスペイン語。タスクシートもスペイン語

通訳をかってでてくれたラファ、母国語がポルトガル語だから大体分かると言っていたけど、英語がそもそもイマイチであんまり通訳してくれない。むしろ途中からコーヒー飲みにいなくなる。

そんなこんなでルールをいまいち理解していないまま飛んだ結果…

  • antes (意味:before)という単語をafterと理解してFONの宣言が無効になったり…
  • FONのゴールのデジットは地図上の交差点を宣言しなくてはいけないというルールがあったり…
  • FONのゴールの計測始点は地上であるというルールがあったり…

どれもゼネブリで説明されていたらしい。3回も減点を繰り返してルールを理解するころには大会は終盤になっていました。

トレドの上を飛ぶ

何といっても、世界遺産であり歴史的都市の上空を、高度制限なしに飛んでいいっていうんだから凄いよね。

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でも、あんまりゆっくりと低空をパスする機会はなかった…

少し街から離れると農作地が広がっていきます。スペインの国土に対する農用地の割合はとても大きい。国土の約50%くらい。これは日本の農用地面積の6~7倍にあたるみたいです。

気球にとってはとても飛びやすい!

優勝は…

安定のIvanでした。

僕は4位。FONのミスを挽回できず、表彰台を逃しました。

トロフィーは武器の街トレドという事で、ソード。

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めちゃかっこいいから欲しかったな~。ラファは凄い気に入ったらしく、Blaiのソードをずっと持って歩いてました。外国人が持つと様になるよね。

あっという間に終わってしまった選手権。

Nissanに乗ってトコトコとイグアラダに帰ります。

アディオース